「率直に言うと、がっかりしています」――。日本国籍を取得した日本文化研究者のドナルド・キーンさん(89)は、8日の記者会見で「鬼怒」の雅号通り、震災後の日本の状況にあえて苦言を呈した。 「日本人は力を合わせて東北の人を助けると思っていました」。会見で終始朗らかなキーンさんだったが、震災の話になると表情が引き締まった。そして、「東京は(電気が)明るい。必要のない看板がたくさんある。東京だけではない。忘れているんじゃないか。まだやるべきことは、いっぱいあると思います」と語った。 「わたしは今まで、ある意味、日本のお客さんだった」と振り返ったキーンさんは、国籍取得を機に日本の現状に意見を言うことも考えている。「もしいいことができるとすれば、私のためでなく、日本人のためだと思います」と話した。