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ブックマーク / davitrice.hatenadiary.jp (7)

  • 反共同体主義としてのリバタリアニズム(読書メモ:『自由はどこまで可能か』) - 道徳的動物日記

    自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書) 作者:森村 進 講談社 Amazon タイトル通り、思想や哲学としてのリバタリアニズムの入門書。 書の初版は2001年ともう20年以上前であるし、わたしが書を最初に読んだのも学部生だったときだ。書の書評やレビューはネットの内外にて既に大量に書かれているだろうから、この記事では書の内容を要約するということはせず、先日に読み直したときにとくに印象に残った箇所……第4章「政府と社会と経済」で、共同体主義(コミュニタリアニズム)や共和主義などの「連帯感」を重視した発想に対して批判を行なっている箇所を主に紹介しておこう。 経済的不平等は社会内部の連帯感を損なう、と言われるかもしれない。だが、リバタリアンはそもそも相互に人間性を認め合うという、礼儀正しい尊重以上の濃い連帯感が社会全体の中に存在しなければならないとは考えない。濃い連

    反共同体主義としてのリバタリアニズム(読書メモ:『自由はどこまで可能か』) - 道徳的動物日記
  • 内在的公正世界信念と究極的公正世界信念(読書メモ:『「心のクセ」に気づくには 社会心理学から考える』) - 道徳的動物日記

    「心のクセ」に気づくには ――社会心理学から考える (ちくまプリマー新書) 作者:村山綾 筑摩書房 Amazon 「公正世界仮説」についてはいまや多くの人が知っていることだろう(小賢しいネット民好みの理論でもあるし)。しかし公正世界仮説(書では公正世界信念と書かれており、また公正世界誤謬と呼ばれることもあるらしい)には二種類あるということは、わたしは書を読むまで知らなかった。 まず1つ目は、「内在的公正世界信念」です。良い行いをすれば良い結果が、悪い行いをすれば悪い結果がもたらされる、と信じる傾向です。この考え方は小さな頃からの学習や経験を通して、多くの人に身についていきます。 (p.68) 2つ目は「究極的公正世界信念」です。今、何かしらの不公正に巻き込まれて被害を負っていても、将来必ず、何らかの形で埋め合わされるに違いないと信じる傾向を指します。この信念は、信仰や宗教とも関わりがあ

    内在的公正世界信念と究極的公正世界信念(読書メモ:『「心のクセ」に気づくには 社会心理学から考える』) - 道徳的動物日記
  • 「怒り」はよくて「嫌悪感」はダメなのか?(読書メモ:『感情と法』②) - 道徳的動物日記

    感情と法―現代アメリカ社会の政治的リベラリズム 作者:マーサ ヌスバウム 慶應義塾大学出版会 Amazon 前回の記事でも触れたように、『感情と法」の第2章と第3章では、おおむね「嫌悪感は不適切で理に適っていない感情だから法律に組み込んではいけないが、怒りは適切で理に適った(ものになり得る)感情であるから法律に組み込むべきである」という議論が展開される。 この議論はかなり興味深いものではあるが、わたしとしては、ヌスバウムは「怒り」という感情を過剰に高く評価したり理想化したりしているように思えたし、逆に「嫌悪感」という感情を低く評価し過ぎて貶めているように思えた。 わたしがまず疑わしく思ったのは、嫌悪感(disgust)について、「汚染源を拒否したいという感覚」であるとしているだけでなく「自分の死や有限性を思い起こさせるもの」とか「アニマル・リマインダー(自分が動物であることを思い起こさせる

    「怒り」はよくて「嫌悪感」はダメなのか?(読書メモ:『感情と法』②) - 道徳的動物日記
  • ユーモアのダークサイド(読書メモ:『笑いと嘲り』) - 道徳的動物日記

    笑いと嘲り―ユーモアのダークサイド 作者:マイケル ビリッグ 新曜社 Amazon 先日に江原由美子の「からかいの政治学」を読んだ流れで、前々から図書館で見かけてタイトルだけは知っていたこのも中古で購入して読了*1。 著者のマイケル・ビリッグは心理学者であると同時に左翼であり、書で展開されるのも「批判心理学」である。訳者あとがきによると批判心理学とは「現在の主流の心理学に対する批判的な諸勢力の総称」であり、量的研究や実験室研究より質的研究とフィールドワークを重視する派閥であるようだ。それだけでなく、書のなかでもハーバート・マルクーゼが何度も登場するように、フランクフルト学派の「批判理論」に影響された、(左翼的な)政治的問題意識をもって既存の心理学の「中立性」を擬似的なものだとして弾劾したり修正したりするといったことを目的にした学問であるように思える。 そして、著者が書でとくに問題視

    ユーモアのダークサイド(読書メモ:『笑いと嘲り』) - 道徳的動物日記
  • 最近読んだ本シリーズ:『悪口ってなんだろう』『「美味しい」とは何か』『ケアしケアされ、生きていく』 - 道徳的動物日記

    図書館で借り、出退勤の電車で流し読みした新書たち。どのもdisることにはなるけれど、ちゃんと読めてはいないです。 悪口ってなんだろう (ちくまプリマー新書) 作者:和泉悠 筑摩書房 Amazon 「「からかい」の政治学」や『笑いと嘲り』を読んだ流れで、関連してそうな書も読んだ。 書では「悪口は人のランクを下げるから悪い」という主張に基づいて議論が展開されるのだが、悪口の問題の一部や一側面を説明する理論として「ランキング説」を採用するならともかく、まるで悪口の問題がすべて「ランキング説」で説明できるかのような書き振りであるところが微妙だった。少なくともわたしとしては、悪口を言う側としても言われる側としても、ランキングの優劣よりももっと重要なポイントがあるように思える。たとえば悪口を言う人は「相手の痛いところをついてやろう」と思うものだし、悪口を言われる人は自分の弱みを攻撃されるか、逆

    最近読んだ本シリーズ:『悪口ってなんだろう』『「美味しい」とは何か』『ケアしケアされ、生きていく』 - 道徳的動物日記
  • 「からかい」を批判する - 道徳的動物日記

    御田寺圭(白饅頭)のについては、批判的な書評をしたり、「ネット論客」としての彼の議論やビジネスのスタイルを批判したりした*1。 最近になって、わたしに対する御田寺からの人格批判じみた揶揄がいくつか投稿されている(「学術コンプ」と言われたり「アホ」と言われたりするなど)。 俺は、学歴コンプとは別に「学術コンプ」というものがあると思っています。 https://t.co/Nk1rW3M3pe — 白饅頭(御田寺圭/光属性Vtuber/バーチャルツイッタラー) (@terrakei07) 2022年11月29日 そういうのを「自己紹介」してしまうその瞬間にだけ発せられる人間性の輝きが、俺は三度の飯より好きです。 https://t.co/uaGn6RKBcB — 白饅頭(御田寺圭/光属性Vtuber/バーチャルツイッタラー) (@terrakei07) 2022年12月7日 ピンカーの意見と真

    「からかい」を批判する - 道徳的動物日記
  • 読書メモ:『尊厳ーーその歴史と意味』 - 道徳的動物日記

    尊厳: その歴史と意味 (岩波新書 新赤版 1870) 作者:マイケル・ローゼン 岩波書店 Amazon 海外の哲学者が「尊厳」という概念について主にカントとカソリック哲学を参照しながら解説したの邦訳。新書ではあるが、内容はそれなりに専門的で、なかなか堅い。 このは「尊厳」という概念についての入門であると同時に、カント倫理学の考え方についてもある種の入門となっている。 著者は、カントの尊厳論について、以下のように要約している。 カントが道徳性を展望する際の基的な出発点は、私たちが自らのうちに「無条件的で比較できない」価値をもつ何ものかーー「人格性」あるいは「人間性の尊厳」ーーを抱えているということである。その価値は手段としてではなく「目的」として扱われなければならない。 しかし、それは人間の行動によって増加したり、人間によって達成されるべき目標として機能したりするものではない。それ

    読書メモ:『尊厳ーーその歴史と意味』 - 道徳的動物日記
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