読書メモ：『尊厳ーーその歴史と意味』 - 道徳的動物日記

尊厳: その歴史と意味 (岩波新書 新赤版 1870) 作者:マイケル・ローゼン 岩波書店 Amazon 海外の哲学者が「尊厳」という概念について主にカントとカソリック哲学を参照しながら解説した本の邦訳。新書本ではあるが、内容はそれなりに専門的で、なかなか堅い。 この本は「尊厳」という概念についての入門であると同時に、カント倫理学の考え方についてもある種の入門となっている。 著者は、カントの尊厳論について、以下のように要約している。 カントが道徳性を展望する際の基本的な出発点は、私たちが自らのうちに「無条件的で比較できない」価値をもつ何ものかーー「人格性」あるいは「人間性の尊厳」ーーを抱えているということである。その価値は手段としてではなく「目的」として扱われなければならない。 しかし、それは人間の行動によって増加したり、人間によって達成されるべき目標として機能したりするものではない。それ

[myogab]

神が無謬であるのではなく無謬であるものを神と呼んだ～みたいな因果の転倒にしか…

[roseknight]

無条件で成り立つ尊厳と私欲が交り合うことが法を創るのでは。シラーの、内的葛藤を認める優美論は尊厳の話にも通ずると思う。倫理学は人と動物の断絶の上で成る。動物を家族と見る日本人の感覚とは根本的に違うな。