12歳の時に、日本から突然異世界へと来てしまったカゲツ。 黒い髪に黒い瞳の異世界の女性。 それら全ての条件にあてはまる彼女は、本来であれば王の妻になるよう運命づけられた『月姫』という存在……であったはずなのに。 彼女を助け、王宮に連れていってくれた妓女――グレンに向けられたのは、門番からの疑惑に満ちた目と偏見を帯びた辛辣な言葉だった。 以来、『月姫』である事を隠し、グレンの娘として、一流の女性になる為の厳しい教育を受けながら色を売らない芸妓として、それなりに幸せに暮らしていたのだけれど…… え?今更、王太子妃候補として王太子争奪戦に参加しろって? 10年も放置してそれはないでしょう!! あ~でも、本物の月姫ってバレてないし、お金貰えるなら仕方ない。 ついでに学んだ知識をフル活用して妓女馬鹿にした奴等を見返してあげましょう!! ……あ、でも、今更、嫁には絶対になりませんから!! 王族の嫁にな