俺には幼馴染がいる。 幼馴染は勇者となり、世界を救った。 俺達は小さな村で生まれた。その年に生まれたのは俺達二人だけだったし、隣の家だったし、母親同士も父親同士も親友で、俺達は二人とも男だったので、当然のように友達になった。 纏めれば楽だと言わんばかりに、俺達は常に一緒だった。一緒に子守りをされて、一緒に飯食わされて、一緒に風呂入れられて、一緒に寝かされた。 そして、一緒に遊んで、一緒に風邪ひいて、一緒に転んで、一緒に泣いて、一緒に笑った。 それが当然だったし、別に不満もなかった。俺達はよく喧嘩もしたけれど気も合う、仲の良い友達だったからだ。 しかし、成長するにつれて俺は思い知ることとなる。特に特出すべき特徴もない俺とは違い、あいつは凄い奴だったのだ。顔も綺麗だったし、背も高くなったから、村の女どころか町の女にも人気があった。本なんて一回読ませりゃ覚えるし、足も速いし、狩りもうまい。そりゃ
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