「そもそも経済学を支えてきた理論のかなりの部分が実証されていない」ために「現実とその理論との矛盾が沸き起こっている」という話から本書は始まります。 著者の言うとおり経済学の理論には、需要と供給の法則にしかり効率市場仮説にしかり、その仕組みの内部がブラックボックスになっているようなものが多い。また、現実に起こっている現象を理論で説明できないことも多く、そういったとき経済学では「理論は正しく、間違っているのは市場のほうだ」という考え方が主流であった。 そういったあやふやな経済学に対抗するために生まれたのがこの経済物理学(エコフィジックス)である。経済物理学とはカオスやフラクタルといった物理学の手法を使って従来の経済学が説明できなかった現象を仮説検証しようとする学問のことをいう。 その経済物理学の研究成果として印象に残ったものの話を挙げると以下のようなものがある。 売買取引には微小な誤差を拡大す