印刷技術の発展に合わせて、実用性と美しさを兼ね備えながら進化を続けてきた活字。情報伝達の道具としてだけでなく、デザインの中心を担う素材としても重要な役割をはたしています。現在では、紙からパソコンやスマホの画面へと使用が広がり、「フォント」という呼び名が一般的に使われるようになりました。このシリーズ「活字のかたち鑑賞会」では文字のかたちに焦点を当て、本への新たなアプローチを試みます。 明朝活字の代表的な書体、秀英体。この書体は「広辞苑」や新潮文庫など、現在も多くの書籍に使われているため、本好きの方ならどこかで一度は目にしたことがあるかもしれません。 100年以上の歴史を持つこの書体は、長らく大日本印刷株式会社(DNP)の印刷で使われてきましたが、より多くの環境で活用されることを目的に2005年からリニューアルプロジェクト「平成の大改刻」が始まり、7年をかけて10書体12万字の開発が行われまし