今月発売の文芸誌『読楽』(徳間書店)で、松本仁一さんと対談しました。 <完全現場主義>と題して、事実を取材して書くとはどういうことかということを話しています。 編集長と担当編集者の厚意により、全4、5回にわたって、ネットでも少しずつ内容を掲載していきますので、よろしければお読みください。 <完全現場主義> ■マスメディアが伝えないこと 松本 新作の『津波の墓標』、拝読しました。 東日本大震災関連では前作『遺体』(新潮社)も非常によかったのですが、今作にはより生々しい話がたくさん盛り込まれていて、個人的にはこちらのほうが引き込まれました。 石井 ありがとうございます。 松本 印象的だったのは、はじめの部分に書かれていた「津波の臭い」という表現(第一話)。 津波の被害を伝えるとき、われわれは「瓦が礫れきが散らばる」など目で見えるものを真っ先に書いてしまう。 でも、あの瓦礫の山からはひどい臭いが