東京電力が早期の再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)の年内稼働が絶望的となっている。テロ対策の不備で原子力規制委員会が出した運転禁止命令の解除の見通しが立たないためだ。今夏の電力需給が逼迫した首都圏にとって、安定供給に原発稼働は不可欠だが、クリアすべきハードルは高く、8日に「立冬」を迎えたこの冬も綱渡りの状況が続く。 「もう一歩」「発電所の目指す姿に向けて、だいぶ進んできたが、もう一歩だ」。6日、柏崎刈羽原発の事故対策を報道陣に公開した稲垣武之所長は、電源喪失時に原子炉の冷却を続けるための新たな設備などを紹介し、早期の再稼働に注力する姿勢を強調した。 同原発では、令和3年に侵入検知器の故障やIDカードの不正使用などのテロ対策上の不備が相次いで発覚。規制委は同年4月に運転禁止命令を出し、今年5月にはテロ対策に関する改善状況を確認する追加検査の継続を決定。これと並行し、東電が原発を動かす事業者