母は体の弱い人でした。 わたしが小さいころにも何回も入院をしたり、床に伏せっていることがよくありました。 「ただいま」と言っても、家の中がしんと静まりかえって、返事も聞こえないときは母が寝込んでいるときです。 ランドセルを置いて、奥へ行き、母がいつも寝ている部屋の戸を開けると、ふとんにきちんと寝ている母がいました。具合が悪くて寝ているときも、母はきちんと仰向けに布団をまっすぐ掛けて寝ていました。 「だいじょうぶ?」 「・・・夕飯作ってくれる?」 「う・・・うん。いいけど」 料理にまつわる思い出 小学校低学年の頃だと思います。 何をどうすればいいのか、ほうれん草の茹で方すら解らなかったのですが、とりあえず「うん」と言って、何をすればいいのか母に聞いて台所へ立ちました。 お米の研ぎ方や、水の量などはわかっていましたから、ご飯は炊きましたが、そのあと何で何をすればいいのかちっともわからないので、