俳優、歌手の杉良太郎さん(72)がベトナムで支援活動を始めて今年で28年。孤児を里子にし、今年9月にはその数176人となる予定だ。日本語学校の運営、孤児の養護施設・盲学校への寄付などベトナムに投じた私財は分かっているだけで17億円に上る。「売名」「偽善」と陰口をたたく人もいるが、杉さんは「見返りなどいらない。受けるべき愛情を受けられない子供たちを助けたいだけだ」と話す。 ◇ ◇ ◇ 杉さんがベトナムに初めて来たのは1980年代後半。孤児の養護施設を訪れたとき、その食事を見て衝撃を受けた。食べていたのは、わずかなご飯に草を混ぜたようなおかゆ。食べ物とは思えないひどいにおいだった。15歳のときに新人歌手として慰問で訪れた日本の刑務所と同じにおいだった。食事が悪いせいか、みんな背が低い。 子供たちが土産の菓子に大喜びするなか、一人だけ寂しそうにしている少女がいた。通訳を介して話しか