斎藤哲也さんの連載「補助線としての哲学」。前回から3回連続で番外編「いま読むべき3冊の思想書」をお届けしています。斎藤さんはこの3冊について「愚かさを増しつつあるこの世界に抵抗するための“希望の書”」といいます。その理由とは――。第2回は東浩紀さんの新著『ゲンロン0 観光客の哲学』を取り上げます。 世界でも国内でも分断は拡大している 前回に引き続き、今回も番外編として必読の哲学・思想書を紹介したい。 東浩紀『ゲンロン0 観光客の哲学』は、世界史的なスケールで、新たな連帯のあり方を構想した哲学書だ。 そのキー概念が、タイトルにもある「観光客」である。はて、「観光客」とは何なのか。本書冒頭では、前著『弱いつながり』を要約して次のように説明されている。 <ぼくは2014年に『弱いつながり』という小さな本を刊行した。そこではぼくは、村人、旅人、観光客という三分法を提案している。人間が豊かに生きてい
古稀を越え、すなわち人生の残り時間があとわずかになったいま現在、5歳のころからずっと思い悩んできた「死」の問題を全身全霊で探究しなければならない。そうでなければ、生まれてきた甲斐(かい)はないし、哲学をしてきた甲斐もない。心からこう思っているのですが、やっと還暦を越えたあたりから、遅まきながら「死」の問題を解決するには、「永遠の生命」という方向ではなく「裏道」をとって、この世は、そして私も「無」であると自覚することによる解決が一番だという確信に至りました。 加計学園問題でも、官僚たちは「知らぬ存ぜぬ」 そして、その方向に僅(わず)かな光は見え始めているのですが、このところ世の中の景色が相当面白いので、ついついそちらにも目が行ってしまいます。2度ほど森友学園問題をテーマにして、それにまともにカントの「道徳論」をぶつけてみましたが、もういいだろうと思っていたら、まさに5月25日のニュースで、今
「『潤滑油』を雇いすぎるな」とアルファベットのエリック・シュミット会長は語る。(ラスベガスで開催された2017年SALT会議にて) Richard Brian/Reuters エリック・シュミット氏が2001年にグーグルの会長兼CEOに就任した当時、従業員はほんの数百人しかいなかった。しかし10年後、同氏が会長職に専念する為にCEOを退任する頃には、従業員数は3万2000人にまで膨れ上がっていた。 シュミット氏は今や、グーグルの親会社であり、世界最大級の影響力を持つ会社、アルファベットの会長を務めている。現時点で、アルファベットの従業員数は6万人以上、時価総額は約6630億ドル(約72兆9000億円)。 「私自身のみならず、グーグル全体のマネジメント哲学の基礎は、急成長していたグーグル黎明期に築かれた」 LinkedIn共同創業者兼会長リード・ホフマン(Reid Hoffman)氏が有名創
――哲学は1人で考えるというイメージもある一方、例えばプラトンが『対話編』で残しているように、対話の中で考えるということもあると思います。哲学の学会発表では、話芸も重要で、ドゥルーズも人に伝えるという点をかなり意識している、レクチャーとパフォーマンスは切り離せないんだというお話も前編でありました。哲学は1人でやるのか否か。この点についてはいかがですか。 國分 僕は哲学は根本的には1人でやるものだと思っています。最近強い関心を持っているのが、ハンナ・アーレントというドイツ出身でアメリカで活躍した女性の哲学者なんですが、彼女は、ものを考えるとは「私が私自身と対話することだ」と言っています。「ツー・イン・ワン」って言ってるんですが、ものを考えるというのは、1者の中での2者を経験することである、と。またアーレントは、私が私自身と一緒にいることを「孤独(ソリチュード)」と呼び、これを、私が私自身と一
哲学――知の根幹をなす学問。難解であるにもかかわらず、戦後から現在に至るまで「哲学ブーム」なるものが繰り返されてきた。そして今、世界が混沌としている現代だからこそ、新たな哲学が求められているのではないか。 注目の哲学者に聞く「哲学の時代」シリーズ第2回は、津田塾大学教授の萱野稔人さん。「暴力」をキーワードに国家論の新たな地平を切り開き、『カネと暴力の系譜学』では「カネ」「ヤクザ」からユニークな国家論を展開、時事問題にも発言をし続ける萱野さんに、“フリーター時代”のお話から憧れの『現代思想』デビューの頃のお話までを伺った。 ◆ ◆ ◆ ――一番最初に哲学に興味を持たれたのはいつ頃ですか。 萱野 大学に入ってからですね。私は知的には早熟な人間ではなかったんです。大学の同級生には中高の頃から哲学の本を読んでいる人もいましたが、私は全くそんな感じではなかったです。当時はバンドブームだったので、それ
科学の発展により、人間は身の回りの出来事の仕組みについて物理的な理解を深めてきました。事象の根源的な理由を知ることは正しいことと言えますが、しかしその一方で、知れば知るほど「人間って何だ」「人生の意味って本当にあるのだろうか」といった疑問に直面するのは自然な帰結といえ、自分を単なる物質として捉えてしまうことで「生きる意味」を見失ってしまう落とし穴に陥っている人も世の中には少なくないはず。科学系アニメーションムービーを次々に提供しているKurzgesagt – In a Nutshellは、そんな状態に陥った人に向けるように「楽観的なニヒリズム」という概念を挙げ、「知ってしまった人」がどのように考えれば良いのかを解説しています。 Optimistic Nihilism - YouTube 人間の存在とは、よくわからなくて恐ろしいものといえます。何十万年も前、「意識」を持つに至った人類は、自分
2018年4月25日をもちまして、 『CodeIQ』のプログラミング腕試しサービス、年収確約スカウトサービスは、 ITエンジニアのための年収確約スカウトサービス『moffers by CodeIQ』https://moffers.jp/ へ一本化いたしました。 これまで多くのITエンジニアの方に『CodeIQ』をご利用いただきまして、 改めて心より深く御礼申し上げます。 また、エンジニアのためのWebマガジン「CodeIQ MAGAZINE」は、 リクナビNEXTジャーナル( https://next.rikunabi.com/journal/ )に一部の記事の移行を予定しております。 今後は『moffers by CodeIQ』にて、 ITエンジニアの皆様のより良い転職をサポートするために、より一層努めてまいりますので、 引き続きご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。 また、Cod
なぜ日本人に人気なのか 2013年以降、ハイデガーの主著『存在と時間』の新訳が相次いで三種類、刊行された(熊野純彦訳、高田珠樹訳、中山元訳)。古くからある数種類の翻訳に加えてのことである。また『存在と時間』の解説書もここ数年、新たなものがコンスタントに刊行され続けている。 このように日本人がハイデガーの哲学、特に『存在と時間』に対して示す関心の高さはほとんど異様とも言うべきものである。 日本人のハイデガーに対する偏愛は昨日今日に始まったことではない。1927年に『存在と時間』を刊行する前、まだ彼がフライブルク大学で師フッサールの助手を務めていた1920年頃には、第一次世界大戦後のドイツに大挙して押し寄せた日本人留学生のあいだで彼の名はよく知られていた。 1924年には年俸1万円という破格の待遇で日本の研究所に招聘する話さえ持ち上がった。当時マールブルク大学で教鞭を執っていたハイデガーにこの
なぜ、本を読むのか? Why do we need to read books なぜ、本を読むのか?本書『読書人カレッジ2022』の執筆者の一人である明石健五は、それを「考えるため」であると言います。 ある未知のものに出会ったとき、そこに驚きと感動が生まれる。そうして、初めて自分なりに思考することができ、それを人に伝えることができるようにもなる。 そういう過程を生きられる人のことを、「知性ある人」というのではないか。では、「知性」を自らのものにするためにはどうすればいいのか。繰り返しになりますが、「読み」「考え」「書く」ことを通してしか感得できないのではないか。 新しい出来事や局面に出会い、答えのない問題を考えることで鍛えられていくものが、確かにある。そういう問題は、すぐれた本の中にいくつも見つけることができます。 繰り返し考えることによって、自分の思考を鍛えていく。それによって、今の世の
PANORAMA STORIES 今だから思うこと Posted on 2017/11/12 岡崎 慎司 プロサッカー選手 スペイン・カルタヘナ もうずいぶんと昔のことになりますが、自分が初めてドイツに渡った時に、僕は自分の本当の弱さに向き合えたのです。 よその国でそこのチームに一日も早く馴染まなければ、一丸になれるよう誰よりも必死に努力しなきゃという思いばかりが空回りしていました。そして、いつの間にかチームに溶け込む事が目的になり、それが裏目に出て、自分らしさを失い、逆に自分はこんなに溶け込もうと頑張っているのに周りは何もしてくれないとグチりだし、仕舞いには、自分がミスれば周りの選手よりも厳しく叱咤される事に腹が立つようになったのです。 そうなると他の選手も監督も信用出来なくなるわけです。 その焦りや不安を解決してくれたのは時間です。そういう焦燥の日々の中で僕は考え続けました。そして追い
「日本eスポーツの夜明け」を謳うデジタルメディア協会。振興に向けた取り組みとして“闘会議”に1000万円の賞金を拠出。高額賞金大会の第一歩へ 編集部:S.K.Y 日本デジタルメディア協会(以下,AMD)は本日(2017年11月17日),「日本eスポーツの夜明け〜AMDによるeスポーツ振興に向けた新たな取り組み〜」と題した記者会見を行った。 今回の記者会見ではAMD理事長の襟川恵子氏が登壇し,取り組みについての発表が行われた。AMDの日本におけるe-Sportsの状況認識は2017年9月に実施された「AMDシンポジウム」(関連記事)で語られているが,簡単におさらいすると,「諸外国と比べて大幅に遅れている」というものである。 そういう状況の中,今回,e-Sports振興に向けた取り組みとして発表されたのは「2018年2月に開催予定の闘会議に賞金として1000万円を拠出する」ということだ。 日本
創業7年、フリークアウトにおける今期の連結売上は、過去最高の120.2億円!代表である佐藤裕介氏が明かすヒットプロダクトの裏側をお届けします。キーワードは「一貫したプロダクトバリューという幻想を捨て去る」ということ。プロダクト開発に携わる全ての人に贈る、佐藤氏からのメッセージ! 【プロフィール】佐藤 裕介 フリークアウト・ホールディングス代表取締役社長。2008年、Googleに入社し、広告製品を担当。2010年末、COOとしてフリークアウトの創業に参画。また、株式会社イグニスにも取締役として参画し、2014年6月にはフリークアウト、イグニス共にマザーズ上場。2017年1月、フリークアウト・ホールディングス共同代表に就任。エンジェル投資家としても活動。 「一貫したプロダクトバリュー」は、ただの幻想。 ※2017年11月15日に開催された「Japan Product Manager Conf
夫婦別姓を選べない戸籍法は法の下の平等に反するとして、ソフトウェア会社「サイボウズ」(東京)の青野慶久社長(46)らが来春、国を相手に裁判を起こす準備を進めている。日本人と外国人の結婚では夫婦別姓を選べるのに、日本人同士だと同姓しか選べないという戸籍法の「法の不備」を突く訴訟になるという。選択的夫婦別姓にかける思いを青野氏に聞いた。 ◇ ――実業界では「青野慶久」で活動していますが、本名は「西端慶久」。妻の姓を選んだ経緯は。 2001年に結婚した時、妻が希望したからです。一人っ子だったとか、ご両親が望んだとかではなく、「自分が『家に入る』というのがいやだ」ということでした。じゃあ僕が変えるわ、と。 当時すでに「青野」で上場企業の役員として名前も出ていたんですが、名前が二つあったら面白いと思いました。偵察のため、ライバル企業の展示会に申し込む時は実名を使った、なんてこともありました。 実は、
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