マイナンバー法案が、国会で審議中だ。システム調達は巨額で、特需が生じると分析する向きもあるが(関連記事)、システム調達費用が巨額になるのには、それなりに理由がある。マイナンバーはかなり複雑なシステムであり、要求要件が非常に難しいからだ。 本連載では、マイナンバーのシステムが抱える複雑さや、システムを開発する上での難しさを解説する。連載第1回である今回は、マイナンバーがどのような設計原理に基づいているのか。以下に示した図を基に、例を挙げて説明しよう。 サーバーをまたいでの串刺し検索が許されていない マイナンバーの特徴は、「個人番号を使ったサーバーをまたいでの串刺し検索が、一切できない」という点にある。例として、「ある人物の年金加入記録を郵送したところ、転居先不明で日本年金機構に戻ってきてしまった」という場合を考えてみよう。 マイナンバーを導入すると、日本年金機構は以下の手順で、転居先を調べる