日本における統計の地位 なぜ、誰のために、このような不正を行ったのか。 恐らく証拠となる文書は出て来ない。不正の開始から15年が経ち、今も当時の状況をうかがえる公文書が保管されているとは考えにくい。そもそも、公文書を作成していない可能性すらある。 ここからは先は、憶測の範囲を出ることはない。批判を承知の上で、ある仮説を記す。 毎月勤労統計の不正が開始された04年当時、小泉・竹中改革による派遣法改正で、製造業の派遣が解禁され、非正規社員の増加と合わせて、人材派遣会社の事業規模も拡大していた。雇用が不安定化する中、雇用保険の支払いを抑制したいという誘惑に、厚労省は駆られなかったのだろうか。 統計法の改正は小泉政権の時代から議論され、安倍政権の下で公布、麻生政権の下で施行されている。民主党時代にも毎月勤労統計の不正は続いていたが、統計法改正を機に政府統計の再建に道筋をつけるべき立場にあったのは、