フルートの伴奏をピアノで弾きたい、という私の欲望のもともとのもともとは、実は前回書いた話よりももっとむかしにまでさかのぼる。 結婚して間もない頃、私たちは奈良県の当麻町(當麻町たいまちょう)という町で暮らしていた。最寄りの公共交通機関は近鉄電車。 その結婚して間もない頃、どういうわけか夫が、突如なにかにとりつかれたかのように「フルートを吹けるようになりたいなあ。フルート習おうかなあ」と言い出した。 夫は小学校中学校の音楽の授業以外の音楽経験はなく、音符は読めないという。それでも何か音楽を、楽器演奏をしてみたいと思うのは実に素敵なことだと思うから、それはぜひぜひ習ったらいいよ、楽譜は慣れれば読めるようになるし、もしも難しい時には私が楽譜に読み仮名をつけてもいいしね、とすすめる。 夫は「でもなあ、フルート買うの高いよなあ、うーん、中古を探したほうがいいかなあ、いきなり新品はなあ。習うところもど