■中華料理で肉(ロウ)といえば、おおむね豚肉をさす。中国人が最も好む肉だろう。しかし、昔は、豚肉は卑しい肉でもあった。たとえば、宋代の詩人、蘇軾の「豚肉の詩」(猪肉詩)。 「黄州のよき猪肉(豚肉)、価銭は糞土のごとし、 貴者はあえて食わず、貧者も煮ることをあたわず、 よわき火、すくなき水、火力たりるとき、それ自らうまし 毎日起きて一碗をもり、飽きて自家君をかまうことなかれ (黄州好猪肉,価銭如糞土; 富者不肯喫,貧者不解煮 慢著火,少著水,火候足时它自美 毎日起来打一碗、飽得自家君莫管) 黄州の質のよい豚肉は、値段はくそみたいにやすく、身分の貴い人は食べず、貧乏人は料理する腕がない。 でも少ない水でじっくりにこんで、火がよーくとおると、うまくなるんだよ。 毎日おきると茶碗に一杯、自分でつくって自分で満足しているのだから、 あなた、あれこれいわないでね。 ■宋時代、