「としちゃん、10円ここ置いとくよ」―。都電熊野前駅から近い熊野前商店街(東京都荒川区)にある駄菓子屋「としちゃん」には、放課後の小中学生たちが小銭を持って続々とやってきて、10円、20円の菓子を買っていきます。 「としちゃん」 子どもたちから店名と同じ「としちゃん」と呼ばれるのは、店主の越山寿治(としはる)さん(67)。郵便局を定年退職し、昔両親が経営していた駄菓子屋を改装して2008年に開店しました。 棚に並ぶのは、小さなチョコレート菓子やガム、昔ながらのふ菓子など数十円の菓子がほとんど。子どもにとってささやかな楽しみです。店内で、もんじゃ焼きをわずか150円(子どもサイズ。毎月9日は憲法9条にちなみ90円)で食べられるのも人気です。 越山さんは、4月の増税前までは仕入れでかかる消費税5%分を価格に転嫁せず、身銭を切ってきました。しかし、8%の増税に加え、原材料価格の高騰の影響を受け、