自己免疫性脳炎の研究は非常に大きな進歩を遂げています.抗神経抗体は細胞表面抗原と細胞内抗原を認識する抗体に大別されますが,前者は治療可能性が高いことから見逃さないことが重要です.さらに後者でもGFAP抗体やKLHL11抗体のように比較的免疫療法が奏効する脳炎もあります.しかし急速に自己抗体が増加し,その臨床像が明らかになったためフォローが難しく,症候から自己抗体を推定することが難しくなっています.今回,Oxford大学のグループから発表された総説は,治療可能で見逃したくない自己抗体について解説したもので,非常に有用です.とくに各抗体が呈しうる臨床症候の頻度をヒートマップで,希少または不明(0=青)から一般的(4=赤)まで示したFigureは役に立ちます. 上段の細胞表面抗原は受容体が多いため,痙攣や意識障害,そして記憶障害が多く認められることが分かります.運動異常症(hyperkineti