卒業を控えたフランスの高校生にとって、2月は将来の進路を決めるシーズンだ。夏に行われる高校教育修了の資格試験「バカロレア」に向けた準備が始まる。 フランスでは、日本のように大学別の入学試験がない。バカロレアを取得して、希望の大学に願書を出し、入学許可をもらう仕組みだ。「一般」「職業」「工業」の3種類があり、大学進学希望者は通常、「一般」を受験する。 日本のセンター試験に似ているが、一問一答ではなく、口頭試験や論文がある。毎年、最初に行われるのは「哲学」の試験と決まっている。 昨年の哲学は、「一般」文系では「人は労働で何を得られるか」「信仰は理性に反するか」「スピノザの『神学・政治論』の抜粋について論ぜよ」の3問から一つを選んで解答せよというもの。制限時間は4時間だった。 「一般」理系も同様で、「国家がなければ人はもっと自由になるか」「人は真実を探求する義務はあるか」「ジャン・ジャック・ルソ