どんな置かれ方をしても起き上がる3次元凸形状「ゴムボック」の共同発見者として知られているハンガリーの数学者、ガボール・ドモコスは、可能な限り単純な幾何学で物理世界を理解しようとしている。 by Elise Cutts2023.11.15 29 13 ガボール・ドモコスは、ブダペストにそびえる丘陵地帯への道のりを、1時間ほどかけて進む。途中、彼は立ち止まり、トカゲを探したり、仰向けにひっくり返って動けなくなったカブトムシを助けたりする。そのまま進めば、すぐにドナウ川とその流れを一望できる塔にたどり着くだろう。しかし彼は、灰褐色の岩が露出し、ひび割れ、そして石の破片が散乱した一帯を土の道が横切っているところで立ち止まる。 「ほら、このモザイクを見てください!」。ドモコスは地面に腰を下ろし、岩の割れ目をほじくり、緩んでいるかけらを探す。「これがまず私の関心を引きました。実に絶対的な美しさがありま
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