毎日新聞が情報公開請求した結核の集団感染に関する自治体の記録には、これまで表に出ることの少なかった発症の背景や治療の経過まで詳細に記されている。そこから浮かんでくるのは、慣れない日本社会で病気と孤独感に加え、周囲の偏見に苦しむ若者たちの姿だ。 2016年5月、島根県江津(ごうつ)市の縫製工場で集団感染が発生した。同県の浜田保健所の記録によると、最初に発病したのは30代の技能実習生の女性だった。 「人にうつすので入院を」。通訳を介して医師から結核発病を告げられると、女性は目に涙をためながらうなずいたという。