「生物学的」な性別であるセックスに対し、社会的・文化的に構築された性別として説明されるジェンダー。しかし、その説明を聞いてもいまひとつピンとこない、という人も多いのではないでしょうか。それは、おそらく多くの人が、「性別」とは生まれつき備わったものだと捉えているからだと考えられます。ではなぜ、そう捉えてしまうのでしょうか。そしてそのことは、私たちの生き方に、どのような影響を及ぼしているのでしょうか。ジェンダー研究を専門とする江原由美子先生にお聞きしました。 ――ジェンダーの問題を考えるにあたって、まずは戦前の女性の状況といいますか、社会や家庭の中で女性がどのような立場に置かれていたのか、といったことから教えていただけますか。 ご存知の通り戦前は、女性に参政権がありませんでした。参政権がないというのは、つまり、権利の主体として認められていないということです。家や土地をはじめとした財産の所有権だ
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