「ごめんなさい。もう運転しない」 被告の男性(47)=京都市=が今年2月、京都地裁の公判で謝罪した。白髪の交じる小柄な背中が、小刻みに震えた。 【写真】これが「臭い飯」? 再犯防止へ変わる刑務所 重い知的障害があり、車に乗りたい衝動が抑えられずに窃盗を繰り返してきた。既に11回服役し、成人後の大半は刑務所にいた。今回、男性は2年余りの服役を終えた後、地域で2カ月生活し、逮捕された。それでも前回よりは長かった。 「自由とは何か」。長年の支援者は考え込んでいた。 排除ではなく「居場所」に 「司法と福祉の連携」をかけ声に、国は男性のような「累犯障害者」への取り組みを広げてきた。2009年、障害のある受刑者らを出所時から円滑に生活支援へつなげる「特別調整」の制度を創設。男性はその対象だった。 ただ、司法から橋渡しされた先の地域社会が、排除に走ることなく「居場所」となるには、なお重い課題が横たわる。
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