あなたのまわりに「叱る」人はいるだろうか。「怒る」ではなく「叱る」人だ。 叱るには「親や上司など指導する立場の人が、未熟な人を注意する」というニュアンスがあることを、きっと多くの人が賛同するだろう。「叱る」という言葉には=人を育てるというような意味を含んでいる。 「叱る」と「怒る」のふたつの言葉にあるこの差は大きい。「叱る」の持つ意味には、叱る人は悪くなく、叱られる人が悪いという響きがある。「わかっている人」が「わかっていない人」に教えるものだという雰囲気がある。 それに気づいたら、ちょっと怖い単語だと思わないだろうか。叱ることは、前提として優位な立場の人間が自分より下の人間に行う、歪な関係を前提にする言葉だからだ。 臨床心理士の著者は、この本の中で、「叱る」ことを以下のように定義している。 言葉を用いてネガティブな感情体験(恐怖、不安、苦痛、悲しみなど)を与えることで、相手の行動や認識の