基幹システム開発/刷新プロジェクトの「要件定義」の位置づけに、昔から違和感を持っている。たいていその作業はコンサルあたりの外部業者が担っている。彼らが半年くらいかけてユーザの要望をヒアリングして、パワポ紙芝居を含めた膨大な資料をまとめあげる。これにもとづいて、システム開発の専業会社によって基本設計がなされ、詳細設計、実装、テストと続く。とくにクライアントが大企業だったり、開発予算が潤沢な場合にこのパターンで進行しやすい。しかしこのやり方では失敗する公算が高い。 ここで言う「失敗」は、クライアント自身の評価とは関係ない。大幅なスケジュール遅延やコスト増加が生じ、かつ、以前よりも使いにくく維持費がかかるシステムが完成することだ。この結果は客観的には失敗以外のなにものでもない。数多くのプロジェクトの動向を30年以上眺めてきた経験から確信しているのだが、稼働後1年くらいたってから調査すれば、要件定