先月、エベレストの雪崩でシェルパ(ネパール人ガイド)16人が死亡・不明となった事故を受け、登山家の野口健さん(40)がネパール山岳協会(NMA)を通じ、約1千万円をシェルパの家族に寄付する。5日にカトマンズで発表する。命にかかわる危険と隣り合わせの仕事なのに、補償が乏しいシェルパの待遇改善を広く訴える。 雪崩は4月18日、エベレストのベースキャンプ(BC)~第1キャンプの5800メートル付近で起きた。荷揚げをしていた13人が死亡し、3人が行方不明になった。現場は巨大な氷塊が積み重なるアイスフォール(氷瀑〈ひょうばく〉)。ルート中、最も危険な箇所だ。過去にも死亡事故が多発している。 エベレスト登山は現在、商業公募隊と呼ばれる「ツアー登山隊」が主流だ。シェルパが山頂まで固定ロープを張ってルートを設置。食料や酸素ボンベを荷揚げし、毎年数百人の登山客を山頂に導く。