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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI (10)

  • 震災後の仙台を歩く - 深町秋生の序二段日記

    仙台のワッシュ君(id:washburn1975)に会ってきた。 「高速道路も通ったし、ガスコンロか灯油を持ってこうか?」と言ったら、「電気も水道も復旧したし、うちは灯油を使ってないんですけど、とりあえず映画秘宝読みたいです」 という答えが返ってきたので、今月の秘宝やマンガを持って仙台に行ってきた。 仙台空港近くを通る仙台東部道路を通った。仙台平野の沿岸部を走る高速道路だが、巨大津波がこの道路にまで届いたらしく、道路周辺の田んぼや家は泥と瓦礫と化していた。東部道路自体も、あちこちに凸凹ができている。 ワッシュ君が「あの道路周辺はこの世の地獄です」と言ったが、当に地獄だった。田んぼにはひっくり返った車や漁船、ねじれた自販機が転がり、油にまみれた粘つく泥が瓦礫と一緒にすべてを埋めつくしていた。 名取インターチェンジ周辺は瓦礫と泥の山に埋もれていた。それでもETCを出ると「割引1000円」とい

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  • 冷酷は時代を超える「吉原花魁日記」 - 深町秋生の序二段日記

    ベストセラーとなっている「吉原花魁日記」を読んだ。いやはや強烈な一冊だ。 作者は森光子という人だが、ジャニーズ好きのでんぐり返り大女優のほうではない。大正13年に19歳で吉原に売られた花魁のリアル日記である。大正15年に、柳原白蓮(筑紫の女王とか大正三美人と呼ばれた歌人。マンガみたいなすごい経歴のオーナー)に認められて、日記が出版。当時も大きな波紋を呼んだのだそうな。 光子はこの日記と続編の2冊を出しているが、その後の消息は不明。このの著作権継承者も不明となっている。 花魁というと、華やかな感じがするが、つまりは女郎である。群馬の田舎に住む貧しい家の少女が、周旋屋(ブローカー)に「酒のお酌でもしていれば、こんな田舎とは比べ物にならないほどいいメシが喰えて、いい着物が着られる。とっても楽な仕事だよ」と、言いくるめられて吉原に売られるところから始まる。もっとも、親の多額な借金でもはや身動きな

    冷酷は時代を超える「吉原花魁日記」 - 深町秋生の序二段日記
  • 深町秋生の序二段日記

    ま、こんなもんでしょ……。 土曜日にやっていた「テレビ朝日が伝えた伝説のスポーツ名勝負」は基的にはとてもおもしろかった。近鉄対ロッテにおけるジョークすれすれの神がかった大試合。リーグ優勝がかかった7時間を超えるダブルヘッダー。まるでマンガ「アストロ球団」のよう。これは泣けた。 しかしアリ対猪木のあのスタンスはどうか。いわゆるがんじがらめのルールのなかで懸命に真剣勝負をやった猪木。この猪木ベビーフェイス説に乗っ取った物語が大いに不満だった。そのあたりは大傑作「1976年のアントニオ猪木」が詳しい。 アリという超スーパースターに無理難題をつきつけられる猪木という物語。それがのちに猪木側がこしらえたストーリーなのは格闘ファンの間で有名だ。猪木は超エゴイストの人でなしであり、しかし過去のあらゆるカリスマ政治家や宗教家と同じくらいの天才アジテーターで、偉大な肉体表現者でもあった。そして関わった人間

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  • 深町秋生の序二段日記

    よくこのはてなでは女の子にモテるモテないといった話題が出る。 個人的にはまったく興味を覚えないのだけれど、たまに「メタルや野郎臭い映画を見ているせいで女の子がよってこない」とか、まあネタなんだけれど、そういったふざけた話を目にすると、かっとなるときもある。そんなの音楽や表現作品のせいにするなよと。 とはいえ女の子の前では実に語りにくいコミックとか映画とか音楽とかはあるわけで、そういった作品がどれだけすばらしいか、男にとって輝かしく見える作品であるかをとくとくと語ると、より女の子にドン引きされるというハードな現実は厳然としてあるんだなあ。別に18禁エロマンガとかじゃなくとも。 http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20080909(日男児の生き様は 男の魂に火をつけろ!) というのをワッシュさんのところで見て、あれこれ考えてしまった。雑談。 さて今日は映画

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  • 深町秋生の序二段日記

    サムライ映画の虜になってしまった映画評論家が放つ「根的に間違っているけど問答無用でおもしろい」大傑作! 「映画秘宝 9月号」柳下毅一郎の新刊レビュー ちくしょー、柳下さんに先を越された! 今月の映画秘宝の書評欄で、スティーヴン・ハンターの傑作「四十七人目の男」を取り上げてらっしゃった。今、(一部の)ミステリファンの話題をかっさらっている作品なのだ。 「キル・ビル」や「リトルトーキョー殺人課」をも超えるあやしげなニッポンが炸裂するというそういう作品であります。しかしなんだってハンターが……。 S・ハンターは高級紙ワシントン・ポストで映画評を担当。ピュリッツァー賞を受賞する映画評論家であり、「このミス」海外版では「極大射程」で1位をゲットする常連ランカー。その「極大射程」もマーク・ウォルバーグ主演「ザ・シューター」として映画化されるなど高名な冒険小説家だ。 しかし最近の工業製品化したハリウッ

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  • 深町秋生の序二段日記

    「あ、ぼく左翼ですよ。アメリカ大好きだけど」速水さんは初めて会ったときそう言った。 「なに言ってんだろう、この人」 と呆れたおぼえがある。アメリカが好きな左翼なんて聞いたことがない。 その後も拝金主義者だというし、旅人(笑)中田さんをぼろくそにコケにするし、商業主義のアイコンともいえるタイアップソングを礼賛したりと、まあまったく左翼でもなんでもないわけなのだが、とことん反体制で、常に差別されたなにかの解放に向けて闘い続けているのは確かである。タイアップソングも自分探しも今回のケータイ小説についてのも、多くの人間から支持されつつも、徹底的にインテリや年長者から軽蔑されている存在である。 今回の「ケータイ小説的 再ヤンキー化の少女たち」もケータイ小説という被差別文化の解放運動といった意味合いが強い。ケータイ小説を扱った研究書はもう何冊もあるが、このには遊園地のアトラクションのような楽しさが

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    そういえば麻草さんのマンガ解説がおもしろかった。 http://d.hatena.ne.jp/screammachine/20080428(そのマンガ、当にわかってる?) この解説は描き手ならではのもので、一度もマンガを描いたことのない私にはとても新鮮だった。効果線の用い方や人物の動き一つで印象ががらりと変わるのだなあと、マンガの奥深さに触れたような気がした。 これを読んで私も真似をしたくなった。まあ私のフィールドとなると小説である。小説のポイントというのをひとつ提示しておこうと思う。 80年代終わりのころに故中島らもは、小説という媒体は近いうちに滅ぶのではないかとエッセイで書いていた。活字離れがすでに進行していたし、映画テレビという強力かつ多くの情報がつまった媒体が進化した現代では、活字というのは恐竜のように自然と淘汰されていくのではないかという話だった。 昔、それを読んだときは「な

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    12月上旬に姫路まで行ってきた。森達也氏の映画作品&講演目当て。 森氏といえば左派の売れっ子評論家という位置づけがなされているような気がする。まあ確かに死刑反対、反体制、反戦の姿勢を貫いていることもあって、そう思われるのも仕方ないかもしれないが、その一方で新右翼の鈴木邦男とを出したり、一水会の代表と息の合った対談をしたりと一筋縄ではいかない面も見せている。 しかしこの人のスタンスはわりあいはっきりしている。それは社会が普段目をつむってごまかしているところを追っかけるという「不都合な真実の追求」、それに白黒はっきりつけない「曖昧への固執」の二つである。(とくに後者はマイケル・ムーアとはっきり異なる点だ)ちなみに「不都合な真実」といえばアル・ゴアがいるけど、私は彼が嫌いである。マリファナ狂いのセガレや言論弾圧を計った女房の存在のほうがよほど不都合な真実だ。 彼が扱ったのは、羊のようにか弱いオ

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    ヨシキさんからの情報で知ったが…… http://www.theliberalblogger.com/forum/f2/8-people-killed-shooting-incident-high-school-jokela-finland-6335/(8 people killed in a shooting incident at a high school in Jokela, Finland ) 妙に老けた犯人。フィンランドでのスクールシューティング事件である。 自殺した犯人はビデオなどで犯行声明を残していた。 And remember this is my war, my idea and my plan. Don't blame anyone else for my actions but myself. Don't blame my parents or my friends

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    週末になると、山形駅あたりのホテルに閉じこもって仕事をしている。 駅前となると繁華街のように思えるが、昼間はかなり静かである。息抜きに散歩をすると、それがよくわかる。土曜の夕方なんて、一番人が街へ繰り出す時間だろうにひっそりとしている。ちりんちりんなんて風鈴の音が風流に響くほど静か。 これは散々言い尽くされたドーナッツ化現象というやつで、同時刻の郊外ショッピングセンターは車の熱気でかげろうができ、周囲の道路は大渋滞を起こし、何人もの警備員が汗だくになって誘導灯を振り回し、子どもはじたばたと泣き叫び、おばあちゃんはへとへとになってベンチに腰掛け……と大賑わいである。 それに反して駅前は商業地としての地位をすっかり奪われ、住宅地に生まれ変わろうとしている。地方の駅前というのはだいたいみんなそんな過渡期に入っているようだが。そんな傾向に合わせるかのように駅前から看板がなくなりつつあることに気づい

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