高齢化の問題を解決する唯一の方法は高齢者の集団自決だ――と(比喩ではなく)文字通り主張するひとがいると仮定しよう。本ノートでは、そのように主張するひとが見逃しがちな事柄を指摘したい。 ただし本論に入る前に注意点がある。本ノートを書こうと思ったきっかけの一部は昨日あたりからのツイッターのトレンドだ。とはいえ、細かな議論をすっとばして言うと、本ノートの議論は成田悠輔本人には関わらない。なぜなら、そこを関わらせるためには彼の発言の意図を明確化せねばならないが、それについてはよく分からないところのほうが多いからである。それゆえ本ノートの議論は、《誰がどうだ》ではなく、むしろ《どの主張にどんな問題があるのか》という話題に焦点を絞る。 さて冒頭で述べた仮定だが、「高齢化にまつわる問題を解決する唯一の方法は高齢者の集団自決だ」と文字通り主張するひとがいる、としよう。はじめに押さえるべきは、「高齢者の集団
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