若い男性レポーターが小腰をかがめてコンビニの陳列棚の前にマイク片手に立って、「こちら、ごらんください」という。その棚はからっぽ。「おにぎりがずっと品切れです」とレポーター氏は興奮気味の声をはりあげる。たしか大震災翌日、3月12日の朝のワイドショーの一場面であった。 ≪震災後の品不足とテレビ報道≫ しばらくのあいだ、おなじような風景がくりかえされた。「納豆がありません」「ヨーグルトがなくなりました」「コメが不足しています」「水が売り切れです」といったふうに、連日のように生活物資不足の「ニュース」が報道された。それも、NHKをはじめ日本のすべての主要テレビ局がそろって朝から晩までこんな放送だけをくりかえしたのである。 おやおや、またはじまったな、とわたしがおもったのは40年ほどまえのオイルショックでトイレットペーパーがなくなった事件をおぼえていたからである。あのときはひどかった。石油の輸入が途