さて、ここからは私が経験した2つの修羅場についてお話しします。平成16年、ミスミに入った私の最初の仕事は、ミスミにとって1番のサプライヤーだった駿河精機(以下、駿河)という会社の買収でした。そのプロジェクトで私は責任者を任され、買収自体は上手くいきました。商社のミスミとメーカーの駿河による経営統合。いわゆる垂直統合ですね。駿河にとってもミスミは1番の大口顧客。重要なステークホルダー同士の垂直統合という非常に分かりやすい戦略で、マーケットからも高く評価をされました。 世間でよく使われる「持たざる経営」という言葉は、ミスミ創業者の田口(弘氏:ミスミグループ本社創業者)さんが初めて使った言葉だと思います。ノンコアな経営リソースを持たない、いわゆるアセットライトな会社をミスミは目指していました。そんなミスミが初めて製造業をグループに取り込むということで、「持たざる経営からの転換」といったことを当時