ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (9)

  • リアル君の名は。おっさんが女の子の匂いを買ってきて身につけたら、たまらない背徳感を味わえた

    「女の子の匂い」をご存じだろうか? 「臭い」ではなく「匂い」である。 よく言われる、せっけんの香りではない。デオドラントや柔軟剤、コンディショナー、乳液、ハンドクリーム、化粧水、オーラルケア、ファンデなどの香料、フレグランスでもない。それらは、女の子から漂ってくる様々な匂いを構成する要素にすぎない。 そうした、外づけの化合物ではなく、女の子自身から発する匂いだ。ココナッツミルクや白桃を想起させる、何とも言えない、「匂い」というより、「あの感じ」といえば分かるだろうか。心地よく、はっとする感じ、あるいは身体的にオンになる感覚である。 これは、わたしの変態性が生み出した妄想にすぎぬ、と考えていた。しかし、優れた先人たちの研鑽と研究の末、「女の子のいい匂い」とは、以下の物質であることが判明している。 ・高級脂肪酸と安息香酸エストラジオール ・ラクトンC10、C11 では、女の子の匂いを再現するこ

    リアル君の名は。おっさんが女の子の匂いを買ってきて身につけたら、たまらない背徳感を味わえた
    tkysktmt
    tkysktmt 2019/05/23
    “身体はくたびれたおっさんなのに、目を閉じると若い女の子の匂いに包まれている”
  • なぜ『この世界の片隅に』を観てほしいのか

    来た。観た。良かった。 封切り直後の映画館は、半分くらい埋まっており、それが多いのか少ないのか分からなかった。可笑しいシーンでは笑い声が場内を満たし、一杯になった胸から心が溢れだす場面では嗚咽が交じる。明るくなると拍手が沸きあがり、観た人みんな良かったと思っているんだなぁと分かる。 結論から言うと、すばらしい映画なので、たくさんの人に観てほしい。できれば、大切な人と一緒に観てほしい。 小学校高学年の娘を連れて行った。『君の名は。』『聲の形』と、今年はアニメ映画の当たり年で、どれも劇場で観てよかったねと話してたので、否でも応でも期待は高まっていた。『君の名は。』とは異なり、中高年ばかりの客層に少し驚く。「アニメは子供のもの」なんて時代もあったね(ジブリのおかげ)。 あの原作のあの絵が動く、というだけで嬉しいと思ったのは最初だけで、あとは夢中で観てて、気づいたら終わってた。冗長な描写は1秒たり

    なぜ『この世界の片隅に』を観てほしいのか
    tkysktmt
    tkysktmt 2016/11/16
    “来た。観た。良かった。”
  • 『数学の認知科学』はスゴ本

    人の思考のうち、最も抽象的で厳密なものは数学にある。だから、過去から現在に至るまでの人類の思考のマップがあるとするなら、その全体像の輪郭は、数学によって形作られている。つまり、数学を調べることで人の思考の構造と限界が分かる。 一方、数学は具体的なところから始まる。「数を数える」なんてまさにそうで、10進数が一般的な理由は、10の指で数えたから。xy座標でy軸が量、x軸が時空的な変化に結び付けられるのは、重力により増えるモノは積み上がり、移動するものは横方向だから。指は10進数の、デカルト座標は時空間のメタファーであり、数学を調べることで思考の身体的な拠り所が明らかになる。 数学そのものは抽象的で厳密だが、これを理解する人は具体的で経験的な存在だ。『数学の認知科学』は、「人は数学をどのように理解しているか?」をテーマに掲げ、この具体と抽象のあいだを認知科学のアプローチで説明する。著者はジョ

    『数学の認知科学』はスゴ本
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    tkysktmt 2016/08/30
  • 胡椒の歴史は血で染まっている『胡椒 暴虐の世界史』

    世界史をコショウで斬ったら血みどろだった。 歴史を学ぶほどイギリス嫌いになるが、書はそいつを加速させる。さらにはオランダやスペイン、米国の悪行が暴かれる。割り引かれて記録されたのでこうなのだから、ホントはいかに非道だったか、推して知るべし。正当化された強奪システムの仕掛けが、胡椒という断面から鮮やかに見て取れる。 卓に欠かせない胡椒は、かつて非常に貴重な品で、薬として珍重されたり、同量の黄金と取引されたというのは当だ。だが、腐りかけた臭いを隠すため、あるいは防腐剤としての胡椒は嘘らしい。そもそも高価な胡椒を使えるくらいの金持ちであれば、いつでも新鮮な肉を手に入れることができたはず。胡椒は、金持ちのステータスシンボルだったというのだ。 そして、熱帯以外ではどうしても育たなかったという事実こそが、胡椒をより貴重なものとあらしめ、ひいては植民地主義と帝国主義という邪悪な歴史を生んだという指

    胡椒の歴史は血で染まっている『胡椒 暴虐の世界史』
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    tkysktmt 2015/02/24
    “歴史を学ぶほどイギリス嫌いになるが、本書はそいつを加速させる”
  • 最高の入門書を一冊で『そうだったのか現代思想』

    きっかけは、このツイートに遡る。 色んなメンヘラを見てきて思うのは、あいつら圧倒的には読書量が足りねえってこと。メンヘラが一心不乱に悩んでることは1000年とか2000年前のメンヘラが既に悩み終わってることなんだよ — プリンツ=オイゲン (@_sexperia) 2014, 12月 16 メンヘラに限らないし、2000年は盛りすぎだ。だが言ってることは合っている。ええトシこいたオッサンなのに、中学生からの悩み「私とは誰か(何か)?」がまだ悩み終わっていないのは、圧倒的に足りないから。存在論と認識論から始まって、認知科学や科学哲学、数学から仏教まで、道草が愉しすぎて終わる気がしない。わたしの時間が終わるまで、知りたいことを知り尽くしたい。 その手引きとなる一冊がこれだ。網羅性はないし単純化バイアスが掛かっているが、現代思想のエッセンスを凝縮し、ひたすら噛み砕くのが良い。要所要所で出てくる概

    最高の入門書を一冊で『そうだったのか現代思想』
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    tkysktmt 2015/01/23
    わかる“数学から仏教まで、道草が愉しすぎて終わる気がしない。わたしの時間が終わるまで、知りたいことを知り尽くしたい。”
  • セックスと殺人と生きる意味『野蛮な進化心理学』

    ぎょっとするタイトルだが、進化生物学と認知科学の最新の知見から、至極まっとうな「人とは何か」が書いてある。 同テーマを大上段に正面から斬り込んだ[人類を定義する一冊『人類はどこから来てどこへ行くのか』]とは対照的に、卑近で下世話なエピソード満載の「あるある集」として爆笑しながら読む。進化心理学が野蛮だというよりも、一見、野蛮だと思われるふるまいも、実は深いところで合理性を持ち、人類の複雑な活動をうまく説明することができるよ、というメッセージが伝わってくる。 たとえば、わたしが初めて上京したときの第一感「都会は美人ばかり」を、著者自身の体験と実験でもって解説する。母数が多いから絶対数も多いのはあたりまえなのだが、頭で分かっても「美人率も高い」と感じてしまうのは男の性(さが)。群衆を眺めるとき、どうしても魅力的な女に注目してしまう男の業("ごう"と書いてバイアスと読む)だというのだ。 あるいは

    セックスと殺人と生きる意味『野蛮な進化心理学』
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    tkysktmt 2014/08/21
  • エンジニアが世界征服するなら『オービタル・クラウド』

    2020年に起きる、前代未聞のスペース・テロを描いた傑作SF。 タイトルにもなっている「軌道の雲」を構築・運用するやり口が現実的すぎて恐ろしい。近未来どころか、今から着手すれば2020年に間に合うんじゃないと思えるくらいリアルだ。モデルとなったテロ首謀国には見せない方がいいんじゃないかと、気で心配する。 基原理と問題点は書に書いてあり、設計はネットで引ける。調達と製造はiPhoneと○○だけで、「全部で千ドルもかかってないぜ。ポケットマネーで作れるんだ、こういうのは」。むかし昔『摩天楼の身代金』で、高層ビルとその住人を丸ごと人質にするアイディアを知ったときと同じくらいのヤバさを感じる。要するに「俺でもできる」だ(足りないのはモチベーションだけ)。それくらい身近な、近未来というよりは現未来。昭和生まれのわたしとっての近未来が、巨大宇宙船や宇宙ステーションなら、平成生まれの主人公の現未来

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    tkysktmt 2014/07/27
  • 知覚を生み出す脳の戦略『音のイリュージョン』

    人が世界をどのように知覚しているかについて、仮説を持っている。 それは、「人は世界を"パターン"で捉えている」だ。見ている像、聞こえている音がそのまま脳で処理されているわけではない。有限の神経系、感覚器官で対応するため、世界は人相応にパターン化される。珍しい仮説ではないが、このパターン化は自分自身に最適化されているところがミソ。世界は知覚する段階で既に再解釈され、歪み、わたし向けにカスタマイズされているのだ。 たとえば、ある部分を見る/聞く/理解するetc…とき、知覚外の部分や隠れている箇所を、あたかも連続しているかのように補完しようとする。自然界では、対象を完全に捉えることはまれだろう。一部が遮られたりノイズが入るのが普通だ。人は、記憶や経験によって、その隠れた部分を補い、連続したものとして扱おうとする。そして、先天的なパターン回路を、文化的にカスタマイズされたパターンを獲得するのが、発

    知覚を生み出す脳の戦略『音のイリュージョン』
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    tkysktmt 2014/07/22
  • 『虚数』はスゴ本

    「ないもの」によって今・ここ・わたしを、新ためて知る。とりうる未来を仮定して、そのの「まえがき」を集めたものが書になる。新刊のフィクション漁るより、40年前のメタフィクションで、「新しい目」を持つ。「発見の旅とは、新しい景色を探すことではなく、 新しい目を持つことなのだ」は、読書の遍歴でも正しい。 だから、『虚数』を「ないもの」というよりも、むしろ「今はないもの」と捉えなおすことで、より今・ここ・わたしをメタ的に説明する試みになっている。同様に、虚数 i を虚構(invention)ではなく、むしろ想像の(imaginary)数とすることで、実数では説明できない世界をメタ的に捉えなおすことに似ている。しかも、スタニスワフ・レムの描いた世界線は今・ここと重なっており、目眩しながら焦点あわせながら読むのが愉しい。 たとえば、レントゲンのポルノグラフィー『ネクロビア』。セックスする人々の姿を

    『虚数』はスゴ本
    tkysktmt
    tkysktmt 2014/05/01
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