あの子は青い鳥。広い空を自由に飛びまわることがあの子にとっての幸せ。だけど、私はひとり置いていかれるのが怖くて、あの子を鳥籠に閉じ込め、何も気づいていないふりをした。北宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美。高校三年生、二人の最後のコンクール。その自由曲に選ばれた「リズと青い鳥」にはオーボエとフルートが掛け合うソロがあった。「なんだかこの曲、わたしたちみたい」屈託もなくそう言ってソロを嬉しそうに吹く希美と、希美と過ごす日々に幸せを感じつつも終わりが近づくことを恐れるみぞれ。「親友」のはずの二人。しかし、オーボエとフルートのソロは上手くかみ合わず、距離を感じさせるものだった。