「外国語で発想するための日本語レッスン - 発声練習」の書評で興味が湧いて読んだのだが,まさにスゴ本,久しぶりに目から鱗が落ちるような体験をした.何気ないことへの明確な理論的解釈を与えられ頭の論理回路を再構築するような感覚で,知的興奮とは違った別の高揚感を感じた. 本書は,最近良く言われるようになった「外国語を身につけるために日本語をしっかり勉強する」ための本なのだが,最大の特徴は外国で教えられている読書技術を日本語で実践して,その思考能力や技術力を学ぼうというものだ.日本語の技術を学ぶからといって,日本語の文法をおさらいしたり,闇雲に近代文学や有名な随筆を読むわけではない.むしろ,本書ではまず「絵画」を分析して解釈するところから始めて,そこから次第に複雑な文章へと進んでいく.その中で,個人が物事を観て考えるということはどういうことなのか,そして何をすべきなのかといった普遍的な論理的思考を