先日、友人が引っ越したというので招かれてお邪魔した。 東京タワーと浜離宮とお台場の一望できる豪気な部屋だった。しかし家具は彼が大学時代から使っていたものがいくつもあった。というより、ほとんど部屋に家具が無かった。テレビもオーディオもない。白を基調にしたシンプルな空間だった。無印のカタログから出てきたような部屋だ。 あと何を置くか、と言われて、観葉植物でも置いたら、と答えた。色合いからみてもちょうど良かろう。忙しいだろうし、なんだったら造花でもいいんじゃないか、と付け加えたところで、中学生の時の自分が聞いたらさぞ激怒するだろうな、と思った。 小学校の高学年から中学生に上がったころの私は園芸少年であった。毎週のように母親に車を出させて、友人森川を伴って園芸店に行った。店に着くと隅から隅まで眺めていた。ハイポネックスの種類も覚えていた。棚の裏に打ち捨てられたように置かれている花期の終ってしまった