【北京=河崎真澄】中国の温家宝首相は5日の政府活動報告で、昨年までの報告とは異なり、「台湾独立」への批判はせず、「話し合いを通じ国際機関への台湾の参加問題に対して情理にかなった措置を講じたい」と述べ、穏やかな姿勢を示した。 台湾が求める世界保健機関(WHO)年次総会へのオブザーバー参加を容認する姿勢を示したものとみられる。台湾で昨年5月に誕生した馬英九総統率いる国民党政権との関係改善を全人代の場でも改めて強調したといえる。 温首相はさらに「政治や軍事問題を両岸(中台)が検討し、敵対状態に終止符を打って(中台)平和協定を結ぶ条件をつくる」と述べ、台湾との対話継続に意欲を示した。 ただ、台湾との統一については「祖国の完全統一を必ず実現し中華民族の偉大な復興を実現する」と強調。台湾統一工作の手をゆるめることはないとクギをさした。