1995年の阪神・淡路大震災に起因し、神戸地裁管内で裁かれた民事訴訟について、特別保存(永久保存)された事件記録は1件もなかったことが同地裁への取材で分かった。民事訴訟記録の保存期間は原則5年で、別扱いで残されている判決原本を除き、ほぼ全ての震災関連の記録が廃棄されたとみられる。来年1月で同震災は発生から30年。住宅や高速道路の倒壊、災害関連死など、都市直下型地震がもたらした数々の訴訟の軌跡と教訓が示された記録は、防災研究や歴史資料として活用が期待されていた。 ■阪神高速倒壊の記録も 阪神・淡路大震災に関する特定の訴訟10件と、震災に限らず永久保存された民事訴訟記録の有無を神戸地裁に確認した。地裁によると、10件の記録は全て廃棄済みで、今年7月1日時点で永久保存されていた11件の記録に震災関連の訴訟はなかった。 廃棄が分かった10件には、阪神高速神戸線の倒壊で犠牲になった男性の母、萬みち子