■ ローバー、火星を駆ける―僕らがスピリットとオポチュニティに託した夢(スティーヴ スクワイヤーズ) 近年まれに見る大成功をなし遂げた火星探査機「スピリット」と「オポチュニティ」の開発者が自ら綴った大冒険の記録! ……というわけで、めちゃめちゃ面白いという評判は出てすぐに聞いていたし、SF大会で関係者の話を聴いたりしていたのに、なかなか読めなかった。いやはや、もっと早く読んでおくべきだった。これはすばらしい。 ただ、全編火星上の冒険談かと思うとぜんぜんそんなことはなくて、打ち上げでちょうど半分くらい。じゃあ前半は何の話なのかというと、延々と企画、設計、開発そして金の話である。 宇宙探査と金の話というと、日本の「のぞみ」や「はやぶさ」のことが思い浮かぶが、予算がたっぷりあるかのようなNASAでさえ、やっぱり金の話はついてまわるのだ。もちろんISASとは桁の違う金額だし、足らなくなるたびに十億