東京都内の精神科クリニックの元患者が「他の高齢患者の送り迎えや歩行訓練の補助といった労働を、無償でさせられた」として、クリニックの運営団体や関係先を刑事告訴した。最低賃金法や労働基準法に違反するとしている。東京都大田区に住む元患者の男性(50)は10月14日、告訴状が上野労基署に受理されたとして、都内で記者会見を開いた。 この男性は、東京都台東区にあるクリニックに患者として通っていた今年4月2日から8月7日にかけて、そのクリニック内で高齢患者の送迎や歩行訓練を補助する業務を、無償あるいは時給111〜125円の低賃金でさせられた、と主張している。 代理人の中川素充弁護士は「高齢患者の送迎補助は、患者の転倒リスクを伴う危険な作業。歩行訓練補助は治療行為にかかわる作業で、本来どちらも職員がやるべきものだ。それを他の患者にさせるなんて、他の医療現場では考えられない」と、クリニックの姿勢を批判した。