寺岡 伸章(中国総合研究センター フェロー) 2009年2月13日 「酒池肉林」といえば、商(殷)王朝の最後の紂王の代名詞として有名である。酒池肉林は、酒を池のように大量に満たし、羊肉や牛肉をあたりの木にかけ、その間を一糸纏わぬ男女に追いかけっこをさせる遊びである。飲み、食い、ドンちゃん騒ぎの毎日だったに違いない。想像するだけで、退廃の臭いが漂う。漢字の表現力は描写が生々しく強烈である。 殷の側からすると、酒池肉林は大がかりな神に捧げる祭典であった。帝や神を地上に降下させるためには、肉や酒だけでは不足で、髪の長い男女や若く美しい裸体の女は神をおろしやすかったと考えられていた。 紂王は有蘇氏を討伐したとき献上された妲己(だっき)を寵愛し、彼女の喜ぶことは何でもやったと伝えられている。炮烙(ほうらく)の刑は、油を塗った銅柱を横に吊るし、下から火を焚き、受刑者にその上を渡らせる処刑法だ。