未返還の国の奨学金について、保証人は半額の支払い義務しかない。そう知らされないまま全額請求に応じた保証人のうち、日本学生支援機構が減額を認める対象として示しているのは一部だけ。機構の線引きに、保証人が揺れている。 11月1日午前5時半すぎ、薄暗い玄関で朝日新聞を手に取った東京都内の男性(71)は、1面の見出しに引き寄せられた。 〈奨学金 説明せず全額請求〉〈保証人 支払い義務は半額〉 自分のことだ、と胸が騒いだ。男性は、めいが借りた奨学金の保証人になっていた。その1週間前、機構から請求された全額の約922万円を振り込んだばかりだった。しかし、奨学金の保証人は支払い義務が半額しかないと記事は伝えていた。 10月初旬、機構からの督促文書を受け取った。 〈あなたへの「最終通知」となります〉〈連絡がないときは、裁判所に支払督促申立を行います〉 裁判所という文字を見て、男性はすぐに、連帯保証人である