東京商工リサーチが発表した「税金滞納倒産調査」結果によると、令和5年度(4~3月)の「税金滞納(社会保険料を含む)」が一因となった倒産は82件で、前年度の24件から3.4倍に急増した。平成26年度以降では30年度の83件に次ぐ2番目の多さだが、コロナ禍以降の令和2年度以降では最多を記録。コロナ禍の資金繰り支援に特例で1年間の納税猶予が認められたが、経済活動が平時に戻ると特例はなくなり、通常通りの納付が求められる。 だが、コロナ禍が収束に向かうに従い、円安、原材料や資材、光熱費の価格上昇に加え、人件費上昇などのコストアップが企業の負担になっている。このため、資金繰りに余裕を欠く企業は税金納付に資金を回せず、その結果、滞納で債権や資産の差押さえを受け、事業継続が困難になる。特に、社会保険料は労使折半で負担しており、徴収が厳しいとの声もあるが、徴収にあたっては企業に寄り添った支援も必要とみられる