文学部にいた時、「文学講読」という授業があって、まあ、たいしておもしろくない古典的な小説を読まされた。わたしのいた学科では、この講読の授業が必修だったので、とりあえず色々と読んだ。 で、その時、きちんとではなかったが、本書のタイトルにある「批評理論」というのも多少やった。これはどういうものかというと、文学作品や映画、文化現象(広告、CM、テレビ番組など)を「それなりに」「違った角度で」読み解くための「道具」である。 たとえば、批評理論のひとつに、「フェミニズム批評」というものがある。これは簡単にいうと、フェミニズムという「思想の枠」から、ある小文学作品や文化現象を覗き込んでみたとき、そこにどんな女性差別だの、女性蔑視だの、女性に対する偏見だのがあるかを分析し論じる(=批評する)というものだ。 例をひとつ挙げよう。川端康成の小説に、『伊豆の踊り子』という作品がある。かつて、わたしが読んだ「フ