食品工場とJ-POP 今から3年前のことだけど、僕は工場で働いた。手持ちの金がまったくなくなり、先の原稿料の支払いの予定もなく借金もできない状態だったので、京浜工場地帯の食品工場で働くことにしたのだ。ファミリーレストランなどに出荷する肉料理やスープなどを大量に造り、それを店で手早く調理しやすいように小分けにしてパッケージしていく作業が、オートメーションという言葉にぴったりの動きをする機械とともに、その工場では行われていた。 中国人、フィリピン人、アフリカ人、そして日本人の数十人の労働者が同じ白衣を着て白いマスクを付けて作業を行うのだった。白を基調としたまさに食品工場の労働者の姿、この姿で同じような身振りで働くわけだが、それはひとつの集団ではない。中国人たちは他の国の人間と違って早朝から夜中までという信じられないくらい長い時間働いていたし、また中国人同士には何かしらの反目があり、たとえばトイ