2012年4月4日のブックマーク (3件)

  • 社会を擬人化するな――ロバート・ノージック「アナーキー・国家・ユートピア」 - 誰が得するんだよこの書評

    「もし国家が存在しなかったなら、国家を発明する必要があっただろうか。国家は必要か。国家は発明されねばならないか」。 この、過激な問いかけから書はスタートする。 まず国家の役割として治安の維持・防衛があげられる。しかし、こういったサービスの提供は国家の独占事業ではなく、民間軍事会社やセコムだって、似たようなサービスを提供できる。よって無政府状態にあってはいきなり国家のような仕組みができるのではなく、まずは人々を守るサービスが自発的に始まるだろう。ノージックはそのような契約ベースの仕組みを保護協会と名付け、無政府状態では複数の保護協会が乱立するはずだと考えた。 そして、その保護協会は会員数が多ければ多いほど紛争解決機関としての競争力が高まるから、ひとたび優位にたつ保護協会が出てくると、それは競合他社を圧倒し、支配的な保護協会にまで成長する。 とはいえ、この保護協会は会員に対する外部からの侵害

    社会を擬人化するな――ロバート・ノージック「アナーキー・国家・ユートピア」 - 誰が得するんだよこの書評
    tokyocat
    tokyocat 2012/04/04
    誰も日本と一緒にはプリクラをとれないので、天皇と一緒にプリクラをとることを夢みる、のかもしれませんね。
  • 円城塔が難解な3つの理由 - 誰が得するんだよこの書評

    今もっとも注目しているSF作家・円城塔について。 1.世界観と世界観の狭間 幻想小説では現実そのものを書くのではなく、異世界を書くのがメインです。その現実とは異なる世界観を異世界側から書くとファンタジーとなり、その世界観を現実のルールの中で説明しようとするとSFになります。その世界観が現実離れしていればいるほど、SFファンはセンス・オブ・ワンダーを感じるようです(自分調べ)。 で、円城塔も通例のSFにならって現実離れした世界観を書くんですが、ここで提示されている世界観がやたらと難解なのです。これはハードSF的な難解さではない。もっとややこしい何かだ。そう思う人も多いんじゃないかと思います。たとえば瀬名秀明やスティーヴン・バクスターのSFは専門用語が連発されるので難解です。難解ですが、それは世界観のディティールを極微にまでこだわっているがための難解さであり、やっていることはパニックホラーだっ

    円城塔が難解な3つの理由 - 誰が得するんだよこの書評
    tokyocat
    tokyocat 2012/04/04
    《たとえば、生物と無生物の境界を司るルールや化学反応と意識の境界を司るルールは既存の世界観では取りこぼされた領域です。そういう誰も踏み込んでいない領域にたいして世界観を与える》《円城塔の作風そのもの》
  • これはペンです / 円城塔 - 誰が得するんだよこの書評

    不滅の小説。 中編2編が収録されており、表題作はものを書くとは何かという話で、「良い夜を持っている」の方はものを読むとは何かという話です。そしてどちらも、不滅という珍しいテーマを扱っています。僕は「良い夜を持っている」の方が圧倒的に好きで、グレッグ・イーガン「順列都市」に類する作品だと評価します(最大級の賛辞)。架空の世界を構築する男の話という点では村上春樹「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」と似ていますが、文体も内容もこちらのほうが百倍面白いです。 さて、「良い夜を持っている」では、異常な記憶力を持つ父が登場します。あまりにも記憶が鮮明すぎて、過去の回想と現在の知覚が区別しかねるほどの、超人的な記憶力なのです。この父は、それゆえ時間という概念をうまく理解できません。 たとえば、事象がA→B→C→Dと順番に発生するのを見て、その状態の変化を、僕たちは「時間が過ぎていく」と表現する

    これはペンです / 円城塔 - 誰が得するんだよこの書評
    tokyocat
    tokyocat 2012/04/04
    《父の回想と同じようなやり方で、主人公もまた回想をしだすのです。そして同じやり方で現実を折りたたんでは展開している以上、その世界観は共通するはずです。たとえ両者がまったく物質的に同じ世界にいなくても》