「もし国家が存在しなかったなら、国家を発明する必要があっただろうか。国家は必要か。国家は発明されねばならないか」。 この、過激な問いかけから本書はスタートする。 まず国家の役割として治安の維持・防衛があげられる。しかし、こういったサービスの提供は国家の独占事業ではなく、民間軍事会社やセコムだって、似たようなサービスを提供できる。よって無政府状態にあってはいきなり国家のような仕組みができるのではなく、まずは人々を守るサービスが自発的に始まるだろう。ノージックはそのような契約ベースの仕組みを保護協会と名付け、無政府状態では複数の保護協会が乱立するはずだと考えた。 そして、その保護協会は会員数が多ければ多いほど紛争解決機関としての競争力が高まるから、ひとたび優位にたつ保護協会が出てくると、それは競合他社を圧倒し、支配的な保護協会にまで成長する。 とはいえ、この保護協会は会員に対する外部からの侵害
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