私たちホモ・サピエンスの一部は 7 万年前よりも後の時期 に,アフリカを離れて地球全体に広がった。彼らに遭遇した旧人類は絶滅し,また膨大な数の動物も同じ運命をたどった。 なぜ現生人類だけが地球各地に居住地を広げ,支配することができたのだろうか。様々な仮説が提唱され議論が続いてきたが,著者は新しいシナリオを考案した。それは社会的行動 が進化し,血縁関係のない者どうしが協力しようとする遺伝 子にコードされた傾向にある。発達した認知能力と結びつき, 新しい環境にも適応できるようになったうえ,イノベーションによって高度な投射武器を誕生させたという。私たちの祖先は世界を従わせる準備を整え,アフリカから旅だった。 再録:別冊日経サイエンス219 「人類への道 知と社会性の進化」 著者Curtis W. Marean アリゾナ州立大学人類進化・社会変化学部の教