グリム童話の「蛙の王子」は、蛙が王女に壁に叩きつけられると蛙から王子に変身するというエンディングだが、王女が蛙にキスをすると王子に変わる話が巷には流布しているようだ。キスをする方の資料はあるか。 グリム童話で、魔法にかけられた蛙の王子が、お姫様のキスで王子に戻るという話は見当たらない。 ○グリムの各版について 『グリム童話を読む事典』(資料1)によると、グリム童話には、初版から七版までと、初版以前の「エーレンベルク稿」があり、現在出版されているグリム童話はほぼ七版を採用している。それぞれの版に収められている「蛙の王様」のタイトルと内容は以下の通り。 (1)エーレンベルク稿 25番「王女と魔法をかけられた王子」(資料2) ストーリーは七版と同じだが、装飾的な文章が少ない。蛙は壁に投げつけられて、王子に戻る。 (2)初版1巻1番「かえるの王さま または鉄のハインリヒ」(資料3) エーレンベルク