1994年に亡くなったアメリカの歴史学者。彼の遺作ということらしい。 この本のタイトルは、英語の原題の直訳そのままなのだが、ようするに、オルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』をもじったものになっている。 オルテガの時代のスペインをどのように考えたらいいのか、難しいですけど、彼の基本的な姿勢は、ポピュリズム批判であり、貴族主義=エリート主義、ということになるのだろう。 大衆的人間は自分が完全であると思う。選ばれた人間が自分を完全だた感ずるためには、とりわけ虚栄心が強くなければならない。自分の完全さを信ずることは、かれの体質には向かないし、かれの本来の性格からは出てこない。そうではなくて、その信念は虚栄心から来るのであって、かれ自身にとっても、それは虚構の、幻想的な、疑わしい性質をもっている。 そこで、虚栄心の強い人は他人を必要とし、他人のなかに、自分について自分でもちたい観念の確証を求めるの