あのね、ちょっとだけ言わせてもらってもいいですか。 この映画は、何一つ救いがない映画ですよ。 実際には、現実には、絶対にありえないことを、思いっきり細部までこだわった現実的な日常の世界として描くなんて、反則以外の何物でもない。 ファンタジーの世界、少女漫画の世界なら、そこにはフィクションとしての前提があり、それに則った作品としているから、見る側にも、救いがある。 それは、受け手が、初めから「嘘の世界」を前提として見ているからだ。 例えば、漫画「奇面組」や「彼氏彼女の事情」など。初めからネタの世界でしょう。 手塚治虫先生の世界でいえば、「ヒョウタンツギ」の登場により、読者は救いを得られる。 ドラマや映画なら、監督がいて役者が演技している裏舞台の世界が前提としてある。 このアニメ作品には、それらが一切無い。 見ている者は、最初の導入から始まり、この映画は日常の世界として知らず知らずにこの世界に