ヌル・ステアリングの対象を同じ基地局と接続する端末に向けると,一つの基地局が複数の端末と同じ周波数帯域で通信する「SDMA」を実現できる(図1)。 図1●ビーム・フォーミングを応用した「SDMA」は基地局当たりの伝送容量を大幅に増やす 一つの基地局で複数ユーザーが同一時刻に同一周波数を使うことができる。同じ基地局に接続している端末間で帯域を分け合うことがなくなる。その結果,基地局のカバー範囲内における帯域当たりの伝送容量を大幅に増やすことができる。 [画像のクリックで拡大表示] 例として,基地局が端末A,B,C,Dの4端末でSDMAで通信する場合を考える。端末A~Dが同時に電波を発信すると,基地局のアンテナでは端末A~Dの電波がすべて合成された形で受信する。ここで,端末Aに向けてビーム・ステアリング,端末B~Dに向けてヌル・ステアリングするパラメータを基地局に設定しておく。このパラメータを