『援護法で知る沖縄戦認識』石原昌家著 凱風社・2700円 本書は戦後、本来軍人・軍属を対象とした「戦傷病者戦没者遺族等援護法」(援護法)が沖縄民間人被害者に適用され、靖国神社に合祀(ごうし)されたことによって「沖縄戦体験の真実」が塗り替えられてきた歴史をつづる。「援護法」を鍵に、「教科書検定事件」等の歴史認識論争、日本の再軍国化への動きとの関連も読み解く、沖縄戦とその記憶の本質に迫る比類なき書だ。 40年にわたり沖縄戦体験者の聞き取りをしてきた著者がいう「沖縄戦体験の真実」とは、天皇制存続のための持久戦の中で、日本軍が住民を守らないだけではなく、軍事作戦上住民を殺害したり死に追い込んだりしたことだ。しかし日本政府は、5万人を超える沖縄民間人への援護法適用の過程で、戦争被害者を真逆の「戦闘参加者」と定義し直し、靖国神社と結託して、赤ん坊からお年寄りまでの民間人被害者を加害側の日本軍人と共に軍